第5章 愛

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第5章 愛(抜粋)

新約聖書の原典はギリシャ語で書かれており、幸いなことにギリシャ語は、英語よりも愛を明確に定義している。エロティックという英語は、ギリシャ語のエロスから来ている。エロスは、男女間のロマンティックな愛を意味する。それは愛の一つの形であり、そこから希望やおとぎ話も生まれる。しかし、問題もある。ほとんどすべての結婚に、エロスの満ち引きがあり盛衰がある。ロマンが高みにあるとき、結婚はアツアツだが、火花が消えると急激に冷えこむ。エロスの上に構築した結婚は、大海にうかぶ桟橋のようだ。満ち潮のときは幸福の海原に浮かぶが、引潮になると結婚はいっぺんに干上がる。どうやら、結婚にはエロス以上の別の愛が必要らしい。

ギリシャ語のフィロスは兄弟愛を示す。それは兄弟姉妹や親友に感じる愛であり、忠誠心である。なんと素晴らしい愛だろう。血縁や共同体験、笑い、戦争、スポーツ、コーヒー片手のおしゃべりなど、これらは互いを強く結びつける。しかし、ここにむずかしい問題がある。私たちは、その関係に苦痛や不満を覚えると、いつでも簡単に相手から離れる。聖書を含めどんな教えも、兄弟愛の関係にさよならをしてはいけないとは言っていない。

アガペは忠誠を尽くす愛である。アガペは献身的な愛である。アガペは犠牲の愛である。アガペは堅固な愛である。アガペは積極的で自己犠牲的な愛である。感情がすさみ、友情がギクシャクしたときでさえ、決して消えずに正しい方向に向かう愛である。アガペは無条件の愛である。傷つけられても愛で報い、ふたりが引き離されても、愛は消えない。アガペは奉仕の愛である。たとえ見返りがなくとも、与え、仕え、聞き、心を配る。病めるときも健やかなときも、富めるときも貧しいときも、愛は堅固な意志であり、単なる感情ではない。

驚くのは、アガペの愛を実践できる人が現実にいることである。私は身体や精神に障害を持つ夫婦が、互いの愛を貫きとおしているのを見たことがある。相手からの見返りを何も期待できなくても、ただ与え、愛し、介護する。じつに彼らは歩く奇跡であり、真のヒーローである。



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by unshakablemarriag | 2013-10-14 16:21 | 5 愛